今週末は土曜日の夜から日曜日の昼過ぎまで暴風の大荒れの天気。外へ出かける用事も無く、ゆっくりとアンプ製作に取り組むことができました。
一応音出しまでできたPCL86全段差動PPアンプですが、問題は発振(前回、発信と誤記してました)対策です。ネット上で色々と調べていると、手作りアンプの会 球アンプ分科会掲示板(超三結アンプ)なるところに寄生発振の原因と対策についての記述があり、早速参考にさせて頂きました。
13.発振対策
先ず初めに配線の取り回しを改善。
(1)出力段プレートからOPT、B1電源からOPTまでの配線をよる
(2)(1)の配線は初段の配線、出力段のグリッド配線とクロスしないようにする
これは複合管ではどうしても無理が出てしまいますので、クロスするところ
は空間を開けるようにしました。
結果、気持ち効果ありでしたが、やはりボリュームの中点を過ぎたあたりからピューと鳴きます。
次に、初段グリッドに4.7pFのディップマイカ・コンデンサーで接地してみました。
この対策はJK1EYPさんの対策を拝借させて頂きました。結果はかなりの改善です。完全になくなったわけではないですが、入力オープンで「ぼそっ」と始まり「ピュー」がかすかに聞こえる程度になりました。PCからのオーディオケーブルを入力に繋ぐとさらにピューが無くなり僅かに「ごそごそ」という音になりました。完全にななくなりませんが、今日のところは他に手立てを思いつきませんので、この辺りにして、次は測定と調整の工程に移ることにしました。
14.測定と調整
測定項目は、(1)初段と出力段の各電位の測定と調整、(2)裸利得とダンピングファクター測定、(3)負帰還と利得、ダンピングファクターの測定を行います。
測定道具
テスターは秋月電子通商の廉価なテスター2台。
先ずリップル取り出しケーブルをICクリップ(70円)と0.22μF650V(AC250V)フィルムコン(70円)と余りのRCAケーブル(0円)で製作。
ダミーロードですが、以前SV-9TをCDプレーヤから直接繋いでいた時に製作したアッテネータ&スピーカ切り替えBOXを使用。これを製作したときに、スピーカセレクターに使ったロータリースイッチが3接点だったので、SP1、SP2、ダミーロード(8.2Ω10W)という接続にしておいたのです。アッテネータは今回は使用しません。
初段のプレート-アース間電圧の測定(左右ch)
初段のバイアス電圧(共通カソード-アース間)の測定
出力段のバイアス電圧の測定
出力段のバイアス調整(プレート電圧検出用抵抗4.7Ωの両カソード端間電圧)
測定結果
(1)初段(3極)と出力段(5極)の各電位
概ね設計値通りという所ですが、初段のEpが低くめになり、その分初段のバイアスも-0.95V位に浅くなったので、B1電圧からB2電圧のドロップ用抵抗を11KΩから9.1Ωへ変更しています。それでもEp=140V強と設計値より約9Vは低いですが、バイアスは何とか1Vあるためこれで良しとします。
出力段は逆にEpが高めに出てバイアスも約-8Vと深くなったので、定電流回路のLM317Tのアジャスト抵抗を23Ωから22Ωに下げて電流を若干多めに流すことにし、その結果バイアスは-7.5Vとなりました。
(2)裸利得とDF
NFB抵抗なしでの利得の測定を行いました。利得は約20倍(26.4db)です。DFはON/OFF法という方法でSP出力開放と8Ωダミーロード接続時の出力電圧を測定し、その減衰率から求めます。結果は1.6でした。この状態ではやはり低音がゆるいので、NFBを施します。
(3)NFBと利得、DF
NFB用抵抗は、初段の受けが100Ωであり、予めNFBの量(倍率)が計算できますが、手元には4.7Kと5.1Kの抵抗を用意してあったので、5.1Kを施すことにしました。
結果、NFB後の利得14.9倍(23.4db)となりNFBは2.9db、DFは3.2となりました。
因みに左右の利得は同じ値が出てますが、PCL86を秋葉のサンエイ電機さんで10本2,500で買い足ししてきたのを差し替えて3極・5極のEpとEg1が揃うように選別しています。
尚、サンエイ電機のオヤジさんによるとポーランド製らしいです。同一ロットのを白箱に入れてくれました。10本の特性を測ってみると割と誤差が少なくどれも±5~6%に治まっており、不良品もありませんでした。このアンプではバイアス調整ボリュームで出力段のバイアスを±1.6V調整できますが、どの組み合わせでも調整レンジ内で揃えることができました。
後はエージングを兼ねて視聴しながらSV-9Tとの聴感での調整です。取り敢えずリビング・コンポの所へ仮デビューということで、セッティングします。入力はSV-3 ver.2から取ります。SP出力は、アッテネータ&スピーカ切り替えBOXのSP切り替えのINとOUTを逆(入力2:出力1)にしてSV-9TとこのPCL86全段差動PPアンプを切り替えられるようにしました。
暫く比較視聴した結果、所感としてはSV-9Tがスピード感、アタック感、キレの良さで勝り、PCL86全段差動PPアンプは3結したためでしょうか、重心が下がり音の厚み、空間への広がり間、余韻、倍音の豊かさ、無音時の静けさが増した感じです。とても柔らかな音色で、聴いていて疲れません。低音も高音もしっかり出ていますが、欲を言えば低音にもう少し締りが欲しいところです。まあでもSV-9Tとは反対の性格とも言える音色なので、使い分けると面白くなるかも知れません。
ノイズも格段に低いです。SV-9TではSPに耳を10cm位近づけるとサーというホワイトノイズと僅かにハムが聞こえますが、PCL86全段差動PPアンプはサーもブーンも皆無。全く何も聞こえません。この静かさがこのアンプの最大の特長と言ってもいいくらい感動ものです。
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